彼の手が好きだ、と猫子は思う。 頭を撫でてくれる手。つないでくれる手。 「待てよ」と言って少し強引に手首を掴んでくるのもいい。「待ってよ」ではなく「待てよ」と言ってくるのがまた、いい。乱暴にくずした口調と裏腹に、痛めないようゆるく拘束してくれるのがいい。 壊れ物を扱うようにそっと、知らないものを感じ取るようにおそるおそる、子供に触れるようにあたたかく触れてくる手。 包み込むようにして頬に触れてくるぬくもりには、いつも泣きそうになる。 くすぐったい人差しゆび。大人しい薬ゆび。いたずらな親ゆびに、しっかりと添ってくる中指と小指。 とても幸せで。 幸せすぎて泣きたくなるから猫子は言う。 「すき」 いつでも、何度でも言う。 すると頬の手はそのままに、今度は背中にも手が回される。でなければ静かに頭を撫でてくれる。それもなければ猫子は彼の手に手を添えて自ら頬をすりつけ、そして彼を見上げて言うのだ。 「だいすき」 手と違うぬくもりがおりてくれば、あとは猫子の完全勝利。
まつげをふるわせて目を開ける。そうして予告をすると、完全に開く前にまぶたにおりてくる手も好き。 親指でまぶたを撫ぜてくる時もあれば、大きなひらで覆ってくる時もある。「見ちゃダメ」なんて言って、かわいらしくたしなめられて。 口までふさがれてしまえば猫子が気持ちを伝える方法はほとんど無くなってしまうから、そんな時は唇がはなれてから拗ねてみせる。 「キィちゃんはニャコのことが好きなのね」 少し怒ったように唇をとがらせて、そしてぷいと横を向く。 好きなのはうれしい。うれしいのは幸せ。なのに怒ってそっぽを向かれて、きっと彼は訳がわからず落ち着かない。けれど猫子は本当に少し怒って言う、"でも"。 「でもニャコの方が絶対、もっとずっとたくさん好きだわ」 自信満々に言い切れるのはとても幸せで、だから猫子は彼の手を取り指をからませる。
この幸せが続きますように。 彼も幸せでありますように。
大好きな手に手をからませて。大好きな手の持ち主の、もっとずっとたくさん大好きな彼と一緒の幸せを願って。 「すきよ、だいすき」 彼が好きだ、と猫子は思っている。いつでも。
- チコ:ラブに気付き遅れました…! ラブよ永遠に! 永久に! ニャーちゃああん!・゚・(ノД`;)・゚・(2008/07/16)
- 亜輦(IZUMI):ふふっ(愛ふりまきつつナゾの笑み浮かべ)(2008/07/19)
- ehspvhzosu:USA(2011/09/06)
- nehssebcc:USA(2011/09/06)
- sbwaswhsp:USA(2011/09/07)
- rxzpzufy:uwSrwf <a href="http://vrquqsnblhtd.com/">vrquqsnblhtd</a>, [url=http://vxyavlcoskvm.com/]vxyavlcoskvm[/url], [link=http://ztxpeptprilh.com/]ztxpeptprilh[/link], http://ltapamedplul.com/(2011/09/22)
- uiayhjl:USA(2011/12/29)
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