オムニ独立軍と言えばPLDが有名すぎるため、それ以外の、いわゆる通常
兵器はあまり知られていない。ここでは、地味ながら重要な位置を占める通常
兵器達を地上、航空、艦艇に分けて紹介する。
1.地上兵器
地上兵器はオムニの地形と生産環境に適合すべく、地球軍のそれと異なる能
力を重視して作られたものが多い。特に生産性、整備、行動面での効率等が重
視して作られ、1つの車体に何種類もの砲塔(あるいは装備)を用意し、複数
の任務に対応させる事を要求されていた。
旧来でも、旧式化した戦車の他任務転用などは行われていたが、最初から複
数任務に適応させる事を前提にして設計されるというのは例を見ない。
1.1.M10Xシリーズ主力戦車
オムニ独立軍の機甲兵力の中枢を占める兵器。
1つの車体に何種類もの砲塔を用意し、複数の任務に対応させている。
このため、生産性が高く、整備、行動面での効率も高い。
また、砲塔と車体のマウント部は完全に規格化され、車体、砲塔、どちらが
新規のものになろうと、旧来のものも使えるように配慮されていた。
M100主力戦車
オムニ独立軍の主力戦車。PLD登場までは、地上戦力の中核を占めていた。
120ミリ砲を固定装備したオーソドックスな戦車。なお、機関出力が高く、
地球軍の主力戦車より登坂能力等の走破能力が高い。反面、それらを高める代
償として装甲が薄くなり、脆い一面も持っていた。第一次独立戦争の最初の2
年間、主力として奮戦した。
M101自走砲
オムニ独立軍の自走砲。M151があまりに有名なので知られていないが、
機甲部隊の自走砲と言えば、こちらの方が主流である。
203ミリ砲を装備し、射程は40キロ以上(精密な射程距離は機密扱いと
なっている)。
オムニ独立軍の陸軍は、「支援火力はロケットが最善」とする考えが主流を
占めている(このため、PLDにもロケットランチャーを装備する事を執拗に
要求した)が、連続した射撃が可能(ロケットは一回きりである)な大口径砲
の威力を認めてもおり、また、主力戦車に同行できる唯一の自走砲と言う事も
あって、M151に次ぐ支援火力の地位を占めている。
M102対空自走砲
名の通り、対空用戦車である。装備しているのは35ミリガトリング砲を砲
塔の両側面に1門ずつ、計2門装備する。派生型として、砲を50ミリ機関砲
に変更したものがある。また、88ミリ速射砲を装備したものも作られたが、
反動問題を解決できず、試作のみに終わった(これが新型砲塔の要求へとつな
がる)。
第一次独立戦争は第一線で戦ったものの、以降は新型にその役目を譲り、射
撃訓練用に使われている。
M103自走ロケットランチャー
陸軍から寵愛されているロケットの装備を図ったのがこれである。
当初の要求ではM151と同じ搭載量を持つことであったが、それはM10
0用砲塔の2倍の重量を搭載させる事になり、無理な要求であるとされた(単
に重量の問題だけでなく、重心の上昇=転倒しやすくなるという問題にもつな
がるため)。
そこで、搭載量を安全なレベルに落とし、代わりに近接用のロケット弾(R
20、R25等と同種)を遠距離砲撃用(R400、R250、R330)ロ
ケット弾共々装備可能なようにすることが決定された。だが、完成したM10
3は、その要求ゆえに、どっちつかずの中途半端なものになった。
全てをやらせようという要求は、遠距離砲撃用としては弾数の不足を、近接
支援用としては(あるいは敵弾にさらされる兵器としては)機動性、即応性の
欠如をもたらした。
それでも、火器管制装置の改良で即応性を上げ、「近接支援用なら使える」
レベルに引き上げたものの、次世代の戦車用砲塔のロケットランチャー装備能
力の付与により、その存在意義そのものが消滅、第一次独立戦争開始前に第一
線を退いていた。
M104対空自走砲
M102で達成出来なかった88ミリ速射砲の搭載を実現すべく作られた対
空自走砲。
明快なコンセプトがあったため、設計、試作は順調に進んだ。途中でなされ
た設計変更点が、砲塔の両側面に、当初要求の接近阻止用対空ロケットランチ
ャー以外の兵器も装備出来るように多目的ラッチを設置した点だけであること
からも、その優れた設計がうかがえる。
この他目的ラッチは軽量の兵器しか装備出来ないものの、ロケットランチャ
ーの他各種ミサイルやミニガン等を装備可能であり、88ミリ速射砲の優れた
性能と合わせ、防空の他、対戦車戦闘にも対応する能力を与えた(装甲の薄さ
が問題にはなったが)。後にPLDの登場に合わせ、ラッチは共通のものに変
更された。
この他目的ラッチは後の砲塔設計に大きな影響を与えた。
問題は、本質的に自走高角砲であり、近距離での対空能力が弱い(初期型は
ミニガンしかなく、PLD用ガトリング砲が完成するまでは対空ロケットや対
空ミサイルに近距離対空戦闘を任せていた)点だが、本来の目的が目的であっ
たこと、M102と併用すれば良いとされたこと、そして、プラスアルファの
能力であった対戦車戦闘能力が高かったことが問題を打ち消していた。
もっとも、実戦部隊では対空自走砲というより、防空能力の高い駆逐戦車と
して使われる方が多かった。
第一次、第二次、両独立戦争で第一線にあったが、第二次独立戦争では駆逐
戦車扱いだった。
M105主力戦車
M100の後継砲塔。M100で問題であった防御の強化とM104で有効
な事が判明した他目的ラッチの装備を目的に設計された。
防御の強化は、装甲の強化と砲塔の正面を極端に小さくし、また曲面を多用
することで対処した。
多目的ラッチはM104のものを流用し、砲塔側面に装備した。装備可能兵
器も同じ。ただ、新たに兵器除装機能を加えられた。これは弾薬を使い切った
兵器を切り離してしまう機能で、当初は多目的ラッチに搭載する兵器で見た目
が大きくなる(=被弾しやすくなる)のを少しでも防ぐ目的で追加されたのだ
が、兵器除装後に機動性能が向上(重量物を捨てた結果、重量の軽減、重心の
低下がなされたため)するという効果も認められ、直ちにM104にも付け加
えられた。
主砲は105ミリと120ミリの2種類が選択可能で、しかも容易に交換可
能なよう、アタッチメントが規格化されていた(交換には30分もあれば可能
だった)。また、大仰角射撃(最大60度)が可能な設計で、いざとなれば自
走砲の代わりを務める事が出来た。
第一次、第二次、両独立戦争で主力として活躍した。
M106対空自走砲
M104で問題とされた近距離対空能力の付与を目的に作られた対空自走砲。
設計開始は第一次独立戦争終結後である。
M105で採用されたアタッチメントをそのまま使い、88ミリ速射砲と3
5ミリガトリング砲、他、105ミリ、120ミリの各キャノン砲を装備可能
にした。M105では整備の簡易性以外の価値がなかったこのアタッチメント
が、M106では大きな価値を持った。というのも、これにより、M106は
単なる対空自走砲から防空から対装甲車両、対PLDまで大抵の事をこなせる
万能車両となったからだ。
事実、生産数ではM105を大きく上回っている。
また、側面の他目的ラッチも健在で、M106の汎用性を高めている。
第二次独立戦争では、M105より多数が配備された砲塔である。
1.2.M12Xシリーズ装甲車
M10Xシリーズ同様、砲塔の互換性をもった装甲車。
特徴的なのは砲塔だけでなく、車体も最初から無限軌道(キャタピラ)と車
輪式の2種類用意された点であろう。このため、地球軍側では型式の特定にか
なり苦労したらしい。なお、無限軌道式の装甲車はM12XA、車輪式の装甲
車はM12XBという型式になっていた。
また、戦車と異なり全ての砲塔は無人化され、車体からリモートコントロー
ルしていた。
M120装甲車
105ミリキャノン砲と小型のミサイルランチャーを装備したオーソドック
スな装甲車。
特に際立った特徴はなく、信頼性や整備の容易性のみを追求して作られた。
基本的に、歩兵部隊に伴随して対戦車戦闘に投入された。
第一次独立戦争で活躍した。第二次独立戦争では順次、M126、M128
に更新された。
M121支援装甲車
専用のランチャーを装備した、支援用装甲車。近距離支援用ロケットやミサ
イルを大量に運用できる。
M103と異なり、最初から目的を限定していたことが成功につながった。
簡易な構造をしており、生産性も高く、近距離支援用の主力として扱われた。
欠点はランチャーが専用のものしか扱えず、汎用性の面で難があった事(無
論、当時のミサイル、近距離のロケットは全てが扱えたが、専用の装置で装填
してやる必要があった)が、多目的ラッチの使用で汎用性を高めるという当時
の流れに付いていけず、第一次独立戦争終結をもって第一線を退いた。
M122対空装甲車
50ミリ機関砲を2門搭載した対空車両。マルチセンサを搭載しており、あ
る程度は偵察の任務にも耐えた。また、50ミリ機関砲は対空のみならず、装
甲車、PLD相手にも有効であったため、M120同様、歩兵部隊に伴随して
いた。
ただ、小型の砲塔にマルチセンサまで搭載したため、余裕はあまり無く、現
在にいたるも改造された事はない(改造の必要がない、という一面もある)。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M123偵察装甲車
M122と同時期に設計された偵察用車両。設計思想もほぼ同じである。M
122との違いは50ミリ機関砲を1門に減らし、砲塔を大型化した点である。
このためM122より多くの各種マルチセンサを積み込めた。
武装が貧弱のように思われるが、基本的に単独行動はしないので問題になら
なかった(単独偵察はM122が担当していた)。
X3ARという偵察型PLDの完成後も、PLDの絶対数の不足からその必
要性は変わらなかった。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M124対空装甲車
M122からマルチセンサと50ミリ機関砲を外し、代わりにミサイルと3
5ミリガトリング砲を塔載した対空車両。マルチセンサがなくなった事で、早
期発見能力は低下し、M123等からの情報を元に戦わねばならなかった。ま
たミサイルは他目的ラッチに装備している(M104の影響を受けた)。これ
らの結果、防空以外の任務に使い倒された。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M125支援装甲車
多目的ラッチを装備した、M121の次世代車。M121同様、恐ろしく簡
素な構造をしている(旋回基部から伸びたアームに多目的ラッチを装備し、旋
回中心部にミニガンを積んだだけ)。
装甲も施していないが、簡素な構造が小型化という副産物を呼び込んだ結果、
被弾率それ自体が低くなり(装備品に被弾することはあったが、本体への被害
にはならいので)、問題にならなかった(後に、弾片よけ程度の装甲が改良型
に施された)。
この簡素な構造は後の装甲車砲塔の設計に影響をもたらした。
第一次独立戦争末期に登場し、第二次独立戦争で活躍した。
M126装甲車
M120に多目的ラッチを装備するように設計を変更した装甲車。この時、
M105同様のアタッチメントを装備させ、主砲も変更可能な設計にする計画
もあったのだが、戦車ならいざ知らず、小型な装甲車の砲塔にそんなものを装
備する余裕は無く、105ミリキャノン砲を固定装備することになった。M1
05と異なり、多目的ラッチを砲塔の構造に組込んだおかげで、外見的にはM
120と大差がない。
アタッチメントの設計変更がたたって、配備開始は第二次独立戦争の2年前
となり、M120との交代が終わらない内にM128に主力装甲車の座を明け
渡すはめになった。
設計は良かったが、短命に終わった悲運の砲塔と言える。
M127対空/偵察装甲車
当初は、M125をベースに火力の充実を図った対空装甲車として設計され
た。M125との違いは対空捜索用のマルチセンサを装備する余裕を求められ
た点である。
この要求を満たすべく、設計陣は安直かつ大胆な手法を用いた。つまり、旋
回基部のアームを1本増やし、第3の多目的ラッチを装備したのだ。この他目
的ラッチに、専用のマルチセンサを搭載すれば、それほど複雑な設計変更を行
わずに済む、というわけであった(トータルの火力を減少させずに済む、とい
うメリットもあった)。
実際、設計変更による問題は無きに等しく(重量の増加も気にする者もいた
が、M125ほどの大搭載量を要求するわけでもないので問題にならなかった)、
開発は当事者達が驚くほどの順調さで進められた。
最終的には35ミリガトリング砲1門、あるいは50ミリ機関砲2門を搭載
し(交換可能)、多目的ラッチを3基装備する、重兵装が可能な装甲車が完成
した。無論、3基の内、後ろ向きの1基はマルチセンサ用のラッチなのだが、
重量バランス問題を気にしなければ、通常の兵器も運用可能(ラッチの稼動範
囲の都合上、ミサイル程度しか運用出来なかったが)であった。これは理論上、
PLDの5割増のミサイルランチャーを運用可能(移動に制限があるが)であ
り、陸軍首脳部は大喜びでM122、M124との交代と、大量採用を決定し
たほどである。
さて、偵察装甲車としても運用されるようになったのは怪我の功名に近い経
緯があっての事である。M127を試験運用中だった部隊がたまたまM123
偵察装甲車を全車喪失してしまい、補充されるまでM127で穴埋めした事が
きっかけになった。
M127用に開発されたマルチセンサは十分に優秀だったが(X4Rより若
干劣る程度)、偵察用としては捜索範囲が狭く、死角も多かった(元々対空用
で、捜索範囲がセンサを中心とした半球状であるため)。そこで残る2基の多
目的ラッチをマルチセンサ搭載可能なように改造し、捜索範囲の増大と死角の
減少を図った。その結果、当時の偵察兵器、M123、M2SC、X4R、X
J1Rの全てを上回る偵察能力を持つ事が判明した。この報告を受けた陸軍首
脳部は、多目的ラッチの設計変更を行った。また、正式に運用マニュアルの中
に組込み、M123との交代も決定した。
また、X4の装備品に組込む事も一時期検討されたが、得られる捜索能力と
失われる火力を勘案した結果、マルチセンサの性能向上までは見送り、と決定
した。結局、PLDにこの種のマルチセンサが採用されるのはX4SのVP1
マルチセンサまで待つ必要がある。
配備開始はマルチセンサの開発に手間取ったことから、第二次独立戦争勃発
の1年前まで遅れてしまった。
M128装甲車
M126で失敗したアタッチメントの運用を目的に設計された装甲車。何度
も設計変更を行ったが、軍の要求を満たす性能のものはなかなか出来ず、開発
は難航していた(もっとも、軍も無理は承知していたらしく、開発は研究程度
のものでしかなかった)。
が、M127の試験運用を見学した開発者の1人が、とんでもない事を思い
ついた。すなわち「装甲なしの『砲座』であれば可能ではないか?」。この思
い付きが事態を大きく動かした。関係各部からの反発を受けながらも「他にい
い案がない」という理由で、この「装甲なしの『砲座』」はひとまず3台分が
試作された。
さて、この試作されたM128を見せられた陸軍首脳部は、ひどいしかめっ
面になったそうである。その体積の大半が交換可能なランチャー類で占められ
るM125や、そもそも敵弾を受けないように行動するM127ならいざ知ら
ず、敵と「撃ち合う」事を前提にしたM128で無装甲というのはあまりに無
防備に感じられたからだ。
が、実際にテストを行ってみると、無装甲でも致命的問題にならない事が判
明した。一応、アタッチメント部分は防弾仕様(実際には弾片よけ程度だが)
のキャンパスで覆ってあることと、砲塔の小ささが被弾率を低くしていたから
だ。また、砲塔重量が軽いため、運動性能が向上し、射撃後の移動が速くなっ
たからである。他にも、装備品がアタッチメント部分を覆うように展開するの
で、アタッチメント自身が損傷する確率をさらに下げていた。
さらに、軽量化の恩恵は、空中からの投下作戦(低空からのみ、M151と
同程度)に耐える、という意外なものにまで及んだ。
この性能に、軍首脳部もその性能を認めざるおえなかったが、それでも装甲
なしの点を改良して欲しいと注文をつけた。何しろ、アタッチメント部分を覆
う防弾布は、あくまで弾片よけであり、歩兵の重機関銃でさえ耐えられないか
らだ。
そこで、簡易に取り外しのきくフレームを装備可能にした改良型を試作した。
このフレームに、装甲を貼り付けるというわけである。この改良で、M128
は一般的装甲車と同じ程度の装甲を持たせることも、空中投下も可能な軽量な
無装甲にすることも可能になったのだ。
このM128の登場により、オムニ製装甲車は1つの完成を見たと言える。
第二次独立戦争開戦後に配備を開始した。
1.3.M15Xシリーズトレーラー
輸送から前線指揮、さらには支援砲撃までこなす事の出来る傑作トレーラー。
トレーラー(牽引される側)さえ変えれば後方で必要とされる大抵の事に対
応できる事と、化け物じみた馬力を誇るくせに信頼性がやたら高いエンジンを
装備し、構造も簡素で信頼のおけるもののみを採用した事が、この成功につな
がった。
この信頼性の高い、頑丈な車体は低高度であれば空中からの投下にすら耐え
る事が出来た。
トレーラーは民間でも好評で、軍用のスペックダウン(と言っても、軍用の
無線機や、火器管制などを行える戦術コンピュータの取り外しだけだが)仕様
が出回っている。
M150トレーラー
基本的に無蓋トレーラー。戦車やPLDなどのトランスポーターとしても使
われる。
有蓋トレーラーの場合でも、形式は同じである。
あまり知られていない事だが、荷物の心配をしない限り40度を超える勾配
を駆け上がる事さえ可能とする能力を持っている。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M151自走砲
オムニ独立軍、戦闘車両の最高傑作とも言える自走砲。無蓋トレーラーの荷
台に大型ロケット(R400、R330、R250)の発射ランチャー3基分
をひとまとめにして搭載した。この結果、在来型自走ロケットランチャーより
もはるかに柔軟性に富んだ運用を可能にした(3基それぞれに異なる種類のロ
ケットを装填出来たため)。
また、トレーラー、ランチャー、それぞれがトラクター部と同様に簡素で信
頼性のおける、頑丈な構造をしていたことから空中投下さえ可能にしていた。
この使用範囲の広さから、陸軍のみならず空挺師団、海軍の陸戦隊、緊急展開
任務のドールズなど、ほとんど全ての部隊が使用した。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M152前線指揮所
M150の有蓋トレーラーをベースに改造した移動指揮所。さすがにC55
6C空中指揮機には及ばないものの、それでも無理なく大隊規模の指揮はとれ
る。最大で連隊規模の部隊を指揮できる能力を持っている。
内部は進行方向の壁面一杯に液晶パネルを用いた状況表示板や、立体映像を
用いた多目的の地図卓を筆頭に、通信用制御卓が3、各種映像の制御卓が1、
この他に各種通信器材と大型コンピュータを搭載している。
それぞれの制御要員4名の他、指揮関係者が12名まで配置につけるように
なっている。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
M153病院車
M152同様、有蓋トレーラーを改造した野戦病院。独立した手術室を3室
持つ。これが1台あるだけで、手足を失う兵士の数が4割減るとさえ言われる
ほど、優秀な治療システムである。他の車両と異なり、この車両だけは車体を
白く塗り、大きく赤十字を描いている。
2.1.戦闘機
F221
第一次独立戦争で主力を務めた戦闘機。制空戦闘から対地支援まで、なんで
もこなす万能機。が、機体自体は意外にコンパクトにまとめられ、ハードポイ
ントは主翼下の4箇所のみである。
航続距離の長さと、バランスの取れた機体性能ゆえ、機数の多くないオムニ
独立軍防空軍では八面六臂の奮戦をすることになった。
第一次独立戦争に参加。終結後、後継機であるF231と交替して、一線を
退いた。
F231
F221の後継機にしてオムニ独立軍の傑作戦闘機。制空戦闘から対地支援
までそつなくこなす万能戦闘機。その汎用性の高さは出力の大きい(推力と機
体重量の比率が1対1という値を誇った)エンジンを装備し、空力特性が良い、
そして素直な操縦性を持つ機体を完成させた事がこの機体の高性能につながっ
た。
ハードポイントがF221からさらに増えて6箇所になり。さらに搭載量が
増大している。
第二次独立戦争では改良型のE型が投入された。
2.2.攻撃機
A15
オムニ独立軍の大型攻撃機。実質的には小型の爆撃機と言っていい。20ト
ンを超える搭載量を有するにも関わらず、単座で、しかも音速での飛行を可能
にしている高性能機。
その高性能ぶりは、この機体が戦略爆撃機の代行すら行った事が証明してい
る。
爆弾を満載している状態で、低空飛行をしていても安定した飛行と、素直な
運動特性を見せた事から、低空進入/強襲降下任務のPLD降下母機(後のA
C15)のベース機になった。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
A312
オムニ独立軍の小型攻撃機。戦時中の機体不足を補うため、急遽投入された。
大元はF221と次期主力戦闘機の座を争った戦闘機。運動性能や1機あた
りの安さでF221に勝ったものの、将来における発達余裕の無さと、各種電
子機器の貧弱さが仇となり敗れ去った。
しばらくは練習部隊の仮想敵役を務めた。その後、第一次独立戦争時におけ
る急激な航空戦力の増強の影響を受けて、搭載量の強化を施して、攻撃機とし
て実戦参加することになった。
元より戦闘機として設計された機体は、単なる攻撃機としてだけではなく、
戦闘機としても優秀で、新編成された飛行隊に、片端から配備された。
第一次独立戦争では後期から活躍したが、終結後は発達余裕の無さからF2
31に順次交代を余儀なくされ、第二次独立戦争を前に全機が退役した。
A16
第二次独立戦争に投入された新型攻撃機。第一次独立戦争の初期において、
A15の後継として開発された。基本的な設計思想はA15を引き継いだが、
唯一、ステルス性の付与が要求された。
このため、爆弾の搭載量、最大速度などは犠牲になったが、これは覚悟の上
であった。それらを代償に得たステルス性能は、対空陣地への攻撃時、その損
害を半分にまで落とす効果があった。ステルス能力が、見つかりにくくし、対
空砲火の開始を遅らせるためだ。また、その機体形状も、正面からの銃撃に強
かったこともある(よく敵弾を弾いた)。
A15以上に高価な機体なので、A15と併用されたが、第二次独立戦争で
は対空陣地攻撃の切り札として、様々な空爆作戦に従事した。
なお、PLD降下母機(AC17)のベース機にもなった。
2.3.輸送機
C556
物資輸送用に開発された大型輸送機。前線部隊に素早く物資を届けるために、
物資の投下が可能なよう、全通格納庫を持っている。そして、積み下ろしが容
易なように機首と機尾がハッチになっている。
PLD完成前からM151などの投下任務に従事していたため、PLDの大
型投下母機としても使われるようになった。PLDなら最大6機搭載可能であ
る。
第一次独立戦争で活躍。第二次独立戦争では後方での輸送任務に従事した。
C559
C556の離着陸に必要な滑走距離を縮めるために開発された、短距離離着
陸機(STOL機)。
第一次独立戦争での経験で、滑走路が短い飛行場にも、C556で輸送する
必要が多いことが明らかになったために、このような改良型が必要になった。
基本的には離着陸距離の短縮、上昇、降下能力の強化(巡航飛行に素早く移
行する事で、経済的な飛行を行うために要求された)、足回りの強化(離着陸
条件の緩和)を中心に、C556の設計見直しを図った。
新型エンジンに恵まれた事と折り重なって、C559はC556と同じ搭載
能力を持ったまま、軍の要求を満たした。若干の航続距離低下があったが、そ
れを割り引いても、十分に優秀な機体であった。
上昇能力を強化した結果、旧来では被害の大きくなる低空進入/投下任務に
も、投入可能になり、第二次独立戦争における主力輸送機になった。
AC15
PLDの強襲降下作戦用に改造された強襲機。大搭載量を誇るA15をベー
スに低空から降下出来るように改造した。1機でPLD1個小隊(3機編成)
を輸送出来る。もっとも、いかに大搭載量を誇るとはいえ、爆弾やミサイルと
は全く異なる存在であるPLDを3機も搭載するには、爆弾庫を大規模に改造
する必要が出た。そのおかげで、最大速度は落ち、航続距離も減少した。もっ
とも、その代わりに対弾性能だけは向上しており、生存性は原型機より高かっ
た。
第一次独立戦争では第177特務大隊の第2中隊と第3中隊(ドールズ)が
都市、要塞への強襲降下作戦や、橋架への降下作戦に用いられた。特に都市、
要塞攻略を主任務にしていた第2中隊では、AC15が主力輸送機であった。
第二次独立戦争ではAC17に主力強襲機の座を奪われたが、空挺師団であ
る第7師団などで、低空侵入作戦機として運用された。
AC17
A16がA15の後継であるように、AC17はAC15の後継として、A
16と同時に開発が進められた。A16同様に、ステルス性能を付与すること
で、敵の攻撃を回避する狙いがあった。
ただ、その結果、格納庫は小型化し、同時に発生したPLDの大型化との相
乗効果で搭載可能機数が2機に減ってしまった。もっとも、奇襲同然に強襲降
下を行うこと自体がそう多くなく、行う場合でも参加機数が少ないため、問題
なしと判断された。
AC15と異なり、A16と同時に設計を進めたため、設計上の無理がなく、
A16と同等の性能を誇った。
第二次独立戦争直前に導入が始まった。
2.4.ヘリコプター、ティルトローター
VHL2
人員、物資を迅速に届ける為に開発されたティルトローター。旧来からのヘ
リコプターとは比較にならない速度が出せ、しかも垂直離発着能力を持つ事か
ら、軍では連絡機、人員輸送機として使われている。また、敵後方に侵入して
人員を回収する任務にも使われる。
第二次独立戦争で登場。
PCH50
戦線の後方に侵入したPLDを回収する目的で開発された大型ヘリコプター。
輸送用大型ヘリ、CH37と戦車空輸用ヘリ、CH43を参考に作られた。と
言っても、基本的にはCH37の機能強化、大型化版の機体に、CH43の戦
車収納システムを手直ししたPLD塔載システムを載せただけだが・・・。
最大でPLDを4機搭載可能で、PCH50が1機いればPLD1個小隊を
回収可能な計算である。
第二次独立戦争で登場。特に特務部隊で活躍した。
AH1
対戦車攻撃などをこなす攻撃ヘリ。通常型ヘリ最大の弱点というべきテイル
ローターを廃止するべく、メインローターをコントラペラ(二重反転ペラのこ
と。1つの軸に2つのプロペラを取りつけ、それをそれぞれ別の方向に回転さ
せる事で、物体が回転するときに起こる力を消す効果がある)にした。おかげ
で、小型の割に搭載量がある。
第一次、第二次、両独立戦争で活躍した。
2.5.その他
C556C
C556を元に改造した空中指揮機。1機で1戦域を管制可能な能力を持つ。
部隊規模に換算すると1個師団以上の部隊を指揮可能である。強力な通信シス
テムに高性能な大型コンピュータを装備し、各部隊の情報を三次元映像化して
指揮官達に提供する。
極めて高価な兵器であるため、数は少ないものの、大きな戦闘には必ず従事
している。
第二次独立戦争で投入、活躍した。
3.1.潜水艦
ゾディアック級
1番艦アリエス、2番艦タウルス以下、12隻全てが12宮星座の名を与え
られた潜水艦。
もっとも有名なのは、「ドールズ」と共同作戦を展開したアクエリアスであ
ろう。
基本的には戦略潜水艦と言うべき艦だが、開戦後には、その搭載能力を買わ
れてカーゴバード(使い捨てのPLD輸送システム。弾道ミサイルや巡航ミサ
イルの技術を応用して作られた)を搭載してPLD部隊の支援にあたったり、
敵の港湾施設や空港をミサイルで「爆撃」して回ったりしていた。
第一次独立戦争に参戦。その後、旧式化のため全艦が退役した。
ゾディアックU級
初代同様、12隻全てが12宮星座の名を与えられた潜水艦。ちなみに、1
番艦はタウルスU。
アクエリアスUもこのクラスである。
初代同様、戦略潜水艦として各海域に出没。各地を「爆撃」して回った。
第二次独立戦争に参戦。
ランバージャック級
第一次独立戦争において、PLDの有効性が判明したことを受けて建造され
た特殊潜水艇。PLD5機分の収納/整備スペースを持ち、必要とあればカー
ゴバード5器(当然、PLD搭載済みの)を搭載することが出来る。
要求が敵後方に侵入する事であったため、静かさではオムニ独立軍潜水艦の
中ではトップに位置する。
有名なのは「ドールズ」の支援を何度か行ったスキップジャックである。
第二次独立戦争に参戦。
3.2.揚陸母艦
リバイアサン級
揚陸関係の各種輸送兵器(ヘリ、ホバークラフト、LST他)の母艦。最大
で2個大隊規模の部隊分の輸送兵器を搭載出来る。なお、PLD、戦車なども
搭載する。
また、ある程度の固定翼機運用能力も持っている。
3.3.航空母艦
インデペンデンス級
水上艦隊の中枢となる船。航空機を100近く(厳密な数は公表されていな
い)を運用できる。
オムニ独立軍には同級を含めて8隻の航空母艦が存在する。
3.4.揚陸支援艦
サンダーボルト級
揚陸時に、部隊を火力支援するために建造された船。装備は混載というのが
正しく、203ミリの単装砲を1門、それに対空、対地兼任のロケットランチ
ャー(M151のそれと同形式のもの)を2器装備している(いずれも中心線
上に)。これ以外には35ミリのガトリング砲を2門装備する。
上陸時には欠かせない船であり、また、上陸とは無関係な沿岸砲撃任務に投
入される場合もある。
3.5.駆逐艦
パンサー級
対空、対潜任務を請け負う船。よくまとまった船である。珍しくステルス性
(軍艦の場合、レーダーなどの反応を小さくするのが目的)を全く考慮に入れ
ないで設計されたが、これは護衛対象よりレーダーなどの反応を大きくなるよ
うにすることで、敵の攻撃を吸収するためである。
これらの兵器陣は、全体のほんの一部に過ぎない。
だが、PLDより多彩な、そして大量に運用されている兵器達の事を、忘れ
ている人は多い。
PLDは確かに有力な兵器だが、これら通常兵器と組み合わされているから、
戦場であれほどの活躍が出来るのだ。
その点を失念していると、いつかとんでもない誤りを犯すことになるだろう。
後書き
INET上のパワードールでは初めまして、松です。
ようやく初めてのパワードールSS(か?)です。
ちなみに、1999/10/24に出すパワードールの同人誌「パワードー
ル『非』公式設定集」に掲載した作品です。先行公開と、いう事で・・・;
この本には、他に3作品掲載しています(宣伝宣伝(笑))。
ゲーム中では全くと言っていいほど姿を見せない地上兵器や艦船などを勝手
に作ってみました。
全般的に趣味で作っています(キッパリ)。
感想、ご意見などは掲示板へどうぞ
松
掲示板へ書き込む