少女義経現代伝−艶話、紅葉の場合−
「んっ・・・・ん・・・んむ・・・」
ベッドサイドに置かれた電灯のわずかな光だけが光源となっている部屋。そ
の中で、弁慶と紅葉は抱擁をかわしながら、互いの唇の感触を味わっていた。
抱きしめられているおかげで弁慶の温もりを全身で感じとっている紅葉は、そ
れだけでも十分に心地よかった。
だが、弁慶にとってはいささか物足りなかった。このような心地よい感覚も
好きではあったが、今は刺激が欲しい。そう思った彼は、行動を起こした。
「!?」
途端に、うっとりと閉じていた紅葉の目が驚きのために見開かれた。無理も
ない。ただのフレンチキスと思っていたら、いきなり唇を割って、舌が口腔に
侵入してきたのだから。もっとも、その瞳に嫌悪の色はない。ただ、驚きの色
があるだけだ。その驚きが過ぎ去ってしまうと、彼女は素直に彼の舌を、そし
てその愛撫を受け入れた。そればかりか、侵入してきた舌に対し積極的に自分
の舌を絡めるという反撃を行い、その感触に酔いしれた。
「んん・・・」
ぴちゃ、ちゅるっ・・・
舌と舌が湿った音を立てる。それに欲情を煽られた弁慶は、紅葉の身体を寝
襦袢ごしに、優しく撫で回した。しているうちに、紅葉の呼吸が限界に達した。
呼吸のために彼女は弁慶から唇と舌を離した。すると、どちらのものとも分か
らない唾液の糸が2人の口を繋ぎ、そして途切れる。
「ふぅ・・・」
そこで、紅葉は大きく息をついて、ようやく呼吸を整える事が出来た。その
おかげで出来た余裕で、弁慶を拗ね気味に睨んだ。
「弁慶様、いきなり・・・そのこんな事をしないでください」
「あれ?嫌だった?」
「いえ、そうは申しませんが・・・」
その、そういう事をするつもりでしたし。と小声で呟く。しかも、顔を赤く
して、しかも俯き加減に。そのあまりの可愛さに、弁慶の我慢が効かなくなっ
た。
「紅葉!」
がばっ
「きゃっ!?」
再び抱きしめると、先ほど同様のディープキスをする。今度は突然抱きしめ
たせいか、紅葉からの反撃はほとんどない。ここで調子に乗った彼は、腕の中
に紅葉がすっぽりと収まったのをいいことに、彼女の寝襦袢の帯をほどいて、
彼女の身体を直接愛撫する。
「んっ、んんっ・・・」
お腹から胸へとゆっくりと撫で上げられ、紅葉の口から声がもれそうになる
が、キスのせいでくぐもった声にしかならない。その代わりに、華奢な印象を
与える彼女の身体がピクピクッと震える。撫でられたところから沸き起こる快
感に反応したのだ。それから逃れるように身を捩ろうとするが、弁慶の左腕が
しっかりと抱きしめているせいで、それもままならない。
そんな紅葉の反応を弁慶は可愛く思いながら、さらに愛撫を続ける。乳房に
右手がたどり着くと、彼は最近とみに大きくなった感触を楽しむために撫で回
した。最初は小さい動きで、そして徐々に撫でる範囲を広げていくと、紅葉の
身体が火照りだした。彼女の身体が「その気」になり始めたのだ。
その事に気付いた弁慶は、それまで撫でるだけだった乳房を、ゆっくりと持
ち上げるように揉み、さらに強い快感を与えようとする。
「はぁっ、はぁっ・・・」
身体を駆け巡る快感に、紅葉はキスを続けられなくなった。唇を離すが、そ
の口からは淫欲に満ちた甘い息がもれるばかりだ。
(それじゃ・・・これでトドメ)
これから行なう淫行に対する羞恥心を吹き飛ばすための、最後のスイッチを
入れるため、弁慶は固くなった彼女の乳首を手の平でぐいっと押し込んだ。
「ふぁっ!?はぁぁぁーーーっ!」
それまでにない強い快感に、彼女の身体が軽く仰け反った。そして、それま
でこらえていた嬌声が漏れた。
その直後、弁慶は彼女の胸を強く揉みしだき、同時に乳首を摘まみ、押し込
んでさらなる刺激を送り込む。さらに、それまで抱きしめるだけだった左手を
降ろして、安産型と言える丸いお尻から太ももへと這わせる。そして、さっと
内股から股間、そして陰核を撫で上げる。
「ひゃうっ!あうっ!?・・・べ、べんけ・・・ひゃん!」
連続した愛撫に、紅葉はただ喘ぎ、快感に身体を震わせることしか出来ない。
反撃したいのだが、次々と流し込まれる快感に、その術を考えることが出来な
いのだ。
対照的に弁慶は余裕たっぷりであった。まぁ、相手である紅葉を一方的に責
めたて、感じさせ、乱れさせていれば、当然であろう。
時折、なすがままに乱れる状態から逃れるためか、単に強すぎる快感に反応
しただけか、紅葉が身をよじる。だが、それで弁慶の愛撫の手から逃れられる
わけもない。むしろ、成長した胸を弁慶の胸板に押しつけるだけであった。し
かもその結果、すっかり固くなった 乳首が押し潰され、紅葉に強烈な快感を
与え、弁慶の気分をさらに盛り上げてしまうという自滅的な効果のおまけ付き
である。
(そろそろ、いいかな?)
紅葉の震える間隔が短くなってきたのを感じ取った弁慶は、冷静に次の手を
考え始めた。別に、興奮していないわけではない。紅葉が見せる痴態は、十二
分に興奮させてくれる。だがその一方で、紅葉をもっと乱れさせたい、感じさ
せたい、快感に蕩けさせてなすがままに弄びたい。そんな男というよりはさか
りのついた牡の欲求が、彼の冷静さを保っていた。
「紅葉・・・」
彼女の注意をそらすために呼びかけると、快感に耐えるように俯いていた顔
が弁慶を見上げる。直後・・・
クチュ・・・
彼は、下着ごしに彼女の秘所を指でつついた。途端に、水音が秘所から漏れ
る。先ほどからの胸への愛撫で、彼女の秘所は、それほどまでに愛液をたたえ
ていたのだ。
「紅葉、濡れてる」
「!!」
弁慶の一言で、ただでさえ火照って赤味がさしていた紅葉の顔は、羞恥のあ
まり真っ赤になった。そして、彼の愛撫による快感で霞がかっていた意識が、
急にはっきりしてきた。もっとも、彼女の耳元に顔を寄せてささやいていた弁
慶は、その変化に気付かなかった。それどころか、彼女の秘所を弄ぶ指の動き
をさらに激しくしていた。動きの意図は、彼女にも分かった。一度、軽いなが
らも絶頂に導こうというのだ。
(そ、そんなの・・・)
嫌。紅葉はそう思った。一度、絶頂に達してしまうと、あまりの感覚に体力
と気力が尽きてしまう。少なくとも、自分から何かする事が出来なくなってし
まう。そうなると、後は弁慶のなすがままにされてしまうのだ。そうなるのは、
基本的に人に尽くすタイプである彼女にとり、いささか忸怩たるものがある。
そんな事を考えている間にも、彼女を絶頂へと導こうとする弁慶の手と指は
動きつづける。その動きに合わせて、彼女の性感も高みへと駆け上がっていく。
そんな感覚が、彼女に絶頂が間近であることを教える。
(だ、駄目・・・)
このままでは押し切られると思った彼女は、とにかく流れを変えるべく、思
い切った行動に出た。
「だ、駄目ぇ!!」
思い切り叫ぶと、半ば体当りするように、全体重をかけて弁慶をベッドに押
し倒しにかかったのだ。
「おっ?」
紅葉の意外な行動に、弁慶は驚きの声と共に押し倒された。下手に抵抗する
と紅葉を怪我させてしまうかもしれないと思い、あえて紅葉の勢いに任せたの
だ。
「紅葉?」
嫌だったか?と訊こうとした時、のしかかってきた紅葉の顔が、文字通り目
と鼻の先に迫ってきた。
「ずるいです、弁慶様・・・」
拗ねと甘えが微妙に混ざった声音で、迫ってきた紅葉は呟いた。
「弁慶様ばかり、わたくしにして・・・」
熱く、甘い吐息が鼻腔をくすぐる。快楽にトロンと蕩けた瞳は、いつものつ
つましさの代わりに、一種の妖艶な迫力を感じさせた。
「も、紅葉?」
「・・・ですから、今度はわたくしが・・・して、差し上げます」
戸惑う弁慶に対し、一方的に宣告すると紅葉は弁慶の唇に自らのそれを重ね
た。
「んっ」
突然の行動に、弁慶が驚く。その隙に、彼女は自分の舌を素早く彼の口腔に
滑り込ませ、その中と舌をひと舐めする。彼がそれに応じようとする前に、彼
女は侵入時と同じ素早さで舌を、そして唇を離してしまう。
「あ・・・」
あまりにあっけなく離れる紅葉に、弁慶は思わず声を漏らす。そんな彼に、
紅葉は快感に蕩けた微笑みを浮べた。
「駄目ですよ。わたくしがするんですから・・・では、まいります」
弁慶をそう言って制すると、紅葉は再び唇を寄せてきた。今度は弁慶の唇で
はなく、彼の鎖骨の辺りである。そこにキスすると、彼女はゆっくりと舌を鎖
骨の線から胸板へと這わせていく。その刺激は決して強烈ではなかったが、し
かし彼を気持ちをさらに高ぶらせるだけのものがあった。さらにこの時、既に
十分いきり立っていた弁慶の一物が、彼女の柔肌によってこすられた。
「おうっ!」
その感触に、弁慶は思わずうめき声を上げた。舌による愛撫と、男にとり最
も敏感な箇所への肌による愛撫は、複合した結果それだけの快感を彼に与えた
のだ。
その反応を、紅葉は可愛らしく上目遣いで確認すると嬉しそうに微笑んだ。
「これが・・・よろしいんですね、弁慶様?」
そう呟いて、舌による愛撫にさらなる熱を入れる。同時に、身体もさらに密
着させて、弁慶の物と肌が触れる面積を増やすと同時に、かかる圧力を大きく
する。そして、そのまま身体を弁慶の下半身へとずらしていく。無論、滑らか
でもなければ規則的でもない。少し下へずれたかと思うと身体を安定させるた
めに左右に揺れ、止ったかと思うと身体を密着させるために、上へと這い上が
る。その度に、弁慶の一物は柔肌でこすられ、快感を発生させる。
もっとも、快感を感じているのは弁慶だけではなかった。彼の一物を肌で感
じる紅葉も同様であった。熱く、そして固くなった一物が、彼女の肌を不規則
に撫で回すのだ。しかも、その感覚の原因は自分の愛撫であると分かっている
から、快感と興奮を同時に感じていた。
「おっ、うっ・・・」
「んっ・・・んっ・・・」
しばらくそうした行為に没頭して、互いに言葉を交わす余裕もなかった2人
だが、やがてその状態に変化が訪れた。ごく当然の話だが、身体をずり下げ続
けた結果、弁慶の下半身に近付いたからだ。そこで、紅葉はそれまでにない強
い快感が胸を通り抜けるのを感じて、思わず奇妙な声を上げてしまった。
「ひゃあぁん!?」
何かと思って身体を離すと、そこには弁慶の一物があった。それで彼女は理
解した。自分の胸の谷間に、彼の一物が入り込んだための快感だ、と。
「・・・紅葉?」
急に止ってしまった彼女を不審に思った弁慶が呼びかける。その声にはっと
なった紅葉は、慌てて応える。
「な、なんでもありません。続けますよ」
(そ、そうよ。ここで止めたらまた弁慶様の流れに・・・)
それだけは避けたい紅葉は、再び身体を・・・というより胸を、弁慶の身体
に密着させた。そして、そのままゆっくりと位置を下げて、再び彼の一物の先
端が彼女の胸の谷間を刺激する。
「んっ!」
身体を洗う時とは全く違う感覚に思わず声を上げながらも、紅葉はそのまま
身体を下げ、弁慶の一物を完全に胸の谷間に埋めた。
それは、双方に新しい快感をもたらした。弁慶には膣内に挿入したと錯覚さ
せる快感と、しかし秘所とは全く違う柔らかに包まれる快感を。そして紅葉に
は、自分の身体の膣内をこすられると錯覚させるような、熱く固い一物に胸の
谷間をこすられるという快感を。
2人はそんな快感にしばし浸っていた。だが、紅葉はそれに満足しなかった。
「弁慶様・・・もっと気持ち良くしてさしあげます」
快感ゆえに息を荒げながらも、紅葉はゆっくりと胸で一物をしごき始めた。
もっとも、彼女の動きはぎこちない上、吸い付くような肌が仇となり、しごく
というよりは貼りついたものをズリズリとずらしていく、とでも言うべき拙い
愛撫であったが。
しかし、不規則に、そして強く一物をこすられる弁慶には、その拙さがかえ
って強烈な快感となった。
「おっ!おっ!」
(すっ、すげっ!紅葉・・・いつの間にパイズリなんて・・・)
快感に奇声を上げ、紅葉の行動にそんな疑問を感じている間にも、彼女は引
っかかる動きを不満に思い、唾液を口に溜め、胸の谷間にトローッと垂らす。
そうして滑りを良くすると、彼女は本格的にしごき始めた。
急に滑らかになった胸の動きは、弁慶の受ける快感を一気に増大させ、射精
一歩手前まで追いこんだ。
「うわっ!?も、紅葉っ・・・ちょっ、待っ・・・!」
慌てて尻に力を入れて射精感を抑えると、弁慶は快感に途切れながらも制止
の声を上げた。だが、パイズリの快感に没頭している彼女は、それが聞えない
のか止めようとはしない。それどころか、さらに挟み込む力を入れてしごきた
てる。
「もみ・・・ホントに出る・・・っ!」
「・・・出してください、弁慶様」
切羽詰った弁慶のうめきに、紅葉は嬉しそうに微笑むと行動に加えて言葉で
も促してきた。こうなると、もうどうしようもない。柔らかい胸に揉み込まれ、
しごかれて射精感がひたすら増大する。そして・・・
「うっ・・・で、出るっ!」
「あっ・・・」
弾けた。ドプッっという音ともに、一物の先端から白濁した精液が噴き出す。
勢いの良かった最初の一撃は、紅葉の口の周りを直撃した。そして勢いが無く
なるにつれ彼自身の腹部を、そして紅葉の胸の谷間や一物自身を汚した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「す、すごい・・・こんなに・・・」
相手のペースで問答無用に射精させられて大きく深呼吸する弁慶を他所に、
紅葉は自分で搾り出した精液の量に驚いていた。白く粘ついたそれが放つ臭い
は、快感に酔う彼女の頭をクラクラさせた。そんな状態で、彼女は何も考えず
に口の周りの精液を舐め取る。
ドクン
口の中にその味と臭いが広がると、性欲の炎がさらに燃え広がった。
(もっと・・・欲しい)
その衝動に突き動かされるままに、彼女は視界に入った弁慶の精液を舐め取
ろうとした。それは、必然的にそれがまとわりつく一物や腹部に舌を這わせる
事になる。これは、弁慶にとって射精後の気だるい気分に浸っていたところへ
の奇襲攻撃となった。
「も、紅葉!?」
ピチャピチャ・・・
紅葉は何も答えず、子猫のようにひたすら精液を舐め取る。そうして弁慶の
腹部と一物に飛び散った精液を舐め取り終わった後も、彼女は一物に舌を這わ
せ続けた。一物から放たれる強い臭いに、魅せられたのだ。一方の弁慶は、紅
葉の舌技に魅せられ、何も言えなくなってしまった。
そうして無言になった2人は、しばらく舌による一物への奉仕と、それによ
る快感を受け止める事に専念した。しかし、しばらくすると・・・
「あ・・・」
紅葉がうっとりとした声と共に、舐めるのを止めた。その必要がないほど、
弁慶の一物が再び固さと熱さを取り戻したからだ。それを感じた紅葉は、自分
の秘所がさらに熱く濡れるのを自覚した。もはや、他にする事は何もなかった。
ただ、本能の命ずるままに、相手の一物を受け入れればいい。
ギシッ
ベッドをきしませて弁慶の身体をまたいで膝立ちになった紅葉は、ささやく
ように宣言した。
「弁慶様・・・入れますね」
そして、回答も待たずに、彼女は腰を落とした。
ズッ・・・ズズズ・・・
一物が秘所を割り、彼女の中に入って来る感触に声が漏れる。
「んっ、あっ!・・・んっ、あっ!」
腰を落すために力む時の声と、落す事によって奥へと侵入してくる一物に膣
壁をこすられ、沸き起こる快感に思わず上がる声がリズミカルに繰り返される。
その声につられるように、彼女の腰も上下する。腰を落とす際の快感が電撃の
ように彼女の身体を流れ、思わず腰を浮き上がらせているからだ。もっとも、
はたから見ていればゆっくりと焦らしながら入れようとしているようにも見え
たであろうが。
そうして時間をかけて弁慶の一物を自分の膣内に収めると、紅葉はゆっくり
と腰を動かし始めた。
「はあっ、あっ、はあっ、あんっ」
ぎこちない、ゆっくりとした動きではあったが、それでも自分で動くという
事が紅葉に快感を与え、その口から嬌声を漏らさせる事になった。
そんなぎこちないが一所懸命な彼女の動きを見て、弁慶の悪戯心がムクムク
と刺激された。彼は、紅葉が腰を落とすタイミングを見計らって、自らも腰を
浮かして彼女を思い切り突き上げたのだ。
「あああーーーっ!?」
下から強烈な突き上げを受けた紅葉は、思いがけず膣内の深い所まで侵入し
てきた一物による快感に悲鳴とも嬌声ともつかぬ叫びを上げた。そのまま倒れ
そうになるが、弁慶の胸板に両手をついてこらえる。今までの弁慶との行為で
は感じたことのない強烈な快感に、紅葉は全身が痺れた。身体が思うように動
かない。なのに、さらなる快感を求めて腰だけは動く。その状態に、彼女は混
乱した。
(と、止らない。このままでは・・・どうかなってしまいそうなのに・・・)
「べ、弁慶さ・・・」
「もっと、してやるな。紅葉」
その反応から感じていると判断した弁慶は、再びタイミングを合わせて突き
上げる。直後、紅葉の叫びが再び室内を満たした。その時、弁慶は微妙に固い
ものが一物の先端に当たるのを感じた。
(これって・・・紅葉の胎内の行き止まりってことか?)
今までは紅葉を傷つけないように注意して体を重ねてきたため、たどり着く
ことの出来なかった場所。紅葉が自分から動き、遠慮なく体重をかけて来たお
かげでその場所へたどり着いたのだ。しかも、紅葉はその事で苦痛は感じてい
ない。快感の強さに戸惑っているようではあったが。
(それなら・・・)
弁慶は遠慮なく動く事にした。それまでとは違う、長いストロークで紅葉の
胎内を突き上げる。そして一番の奥にたどりつくと、そこを一物の先端でこね
回す。続けて、一物を締め付ける膣内全体を刺激しながら引き抜く。この動作
をテンポ良く繰り返すのだ。初めて刺激される箇所をそんな風に責め立てられ
て快感を送り込まれた紅葉は、性感の高みへと一直線に駆け上がっていく。
もっとも、それは弁慶にも同じ事が言える。紅葉が感じれば感じるほど、一
物は締め付けられ、膣襞は絡みついて射精感を煽り立てる。それをこらえるた
めに、彼は紅葉の胸に手を伸ばした。熱を帯びすっかり柔らかくなった乳房を
はつきたての餅のように彼の手の中でこね回され、紅葉に別の箇所からの快感
を送り込む。すると、すかさず膣壁が反応して彼の一物をさらに締め付ける。
「ううっ・・・」
自爆同然の強烈な締め付けに、弁慶はうめき声を漏らした。これ以上もたな
い、そう判断した彼は、紅葉に呼びかけた。
「紅葉・・・も、もう・・・」
「はあっ、は、はい、わたくしも・・・あっ」
「頼む、抜かせてくれ・・・」
紅葉が弁慶の身体をまたぐ、いわゆる騎乗位であるため、一物を抜こうと思
ったら、紅葉に頼むしかない。だが、紅葉はその言葉を拒絶してきた。
「あっ、い、嫌です。このまま・・・」
「ま、まずいって、このまま中に出すのは・・・」
「出してください。このまま、中に・・・っ!!」
そう言うと、紅葉はさらに腰を押し付け一番奥まで一物を受け入れると、無
理にでも射精させるとでも言うように、腰をぐりぐりと回した。
この動きが双方にとってのとどめになった。
「あっ、ああっ、ああああーーーーっ!!」
「うっ、で、出る・・・・!!」
絶頂の叫びを上げた紅葉が仰け反ると、弁慶もまたうめいて、一物を爆発さ
せた。
ドピュッ、ドピュッ、ドプッ・・・
一物が震えながら精液を吐き出すのを感じた紅葉は、恍惚とした表情を浮べ
て呟いた。
「あ・・・出ています。弁慶様のが・・・わたくしの中に・・・」
心底から嬉しそうに呟くと、脱力した紅葉は弁慶の胸の中に倒れこんだ。
「なぁ、紅葉。どうして中に欲しがったんだ?」
紅葉の身体を抱きとめながら、弁慶はそう訊ねた。
事が終わり、燃え盛った身体と精神を落ち着けるために、腕の中にすっぽり
とおさまる紅葉の栗色の髪をすきながらの問いである。
これには理由がある。現代に来た九羅香達と関係を結ぶにあたり、「子供を
作るのは、自分が大学を出て仕事に就いてから」という約束を交わしたからだ。
(理由は言うまでもなく、子育てを行なうのに必要な経済力をつけてからにし
よう、というもの)
で、ある以上、明らかに妊娠の危険性が高い「中に出すことをねだる」とい
う行為は、明らかな約束違反と言える。その点を指摘された紅葉は、それまで
情事の激しさに幸せそうに惚けた表情を曇らせた。
「あ、あの・・・申し訳ありません・・・」
「いや、怒ってはないんだけどさ。どうしたのかな、って思ってさ」
原因だけが気になっている事を示す弁慶の問いに、紅葉は顔を赤くしながら
答えた。
「そ、その・・・弁慶様のせいですよ。あんなに激しく・・・」
そこから先は、口の中で何やらゴニョゴニョ呟くばかりである。それでも、
弁慶は原因を察した。
「ああ、つまり、理性が吹き飛ぶくらい感じまくって・・・」
「い、言わないで下さい!恥ずかし過ぎます!!」
ストレートすぎる弁慶の言いぐさを、紅葉が大声で止めにかかる。そんな彼
女の頭を、弁慶は1割のいやらしさと9割の愛おしさを込めて撫でた。
「でも、あんなに感じて乱れる紅葉は、結構可愛かったぞ」
「はううぅ」
う言って、あっさりと紅葉を撃沈してみせる。ゆでだこのように真っ赤にな
った彼女は、そのまま弁慶の胸板に顔を沈める。
「まぁ、次からは気を付けような」
「はぃ・・・」
弁慶の言葉に、赤面したまま小さく頷く紅葉。その仕草の可愛さに、彼はも
う少しだけ「いぢめ」てみようと思って、話題を変えた。
「ところでさ、今回の紅葉はいやに積極的だったよな。胸でしてくれたり、舐
めてくれたり・・・あれって、いつの間に身につけたんだ?」
おそらくは恥ずかしがるだろう、と踏んでの質問であったのだが、意外にも、
紅葉は恥ずかしがる事無く答えた。ただし、言葉にしてではなく行動に出して
であったが。
「あの、ですね・・・」
そこで言葉を区切ると、彼女は弁慶の腕からすり抜け、ベッドから身を乗り
出すとその下へ腕を伸ばした。
(え?)
その行動に嫌な予感を覚えた弁慶は、自分の顔が引きつり、冷汗で濡れるの
をはっきりと自覚した。
予感的中。紅葉がベッドの下から引っぱり出してきたのは、弁慶所有のエロ
本群であった。(九羅香達と関係を結んでから以降は、全く使わない代物であ
ったが)
「その・・・このような本がありましたので、弁慶様はこのような事がお好き
なのかと思いまして・・・」
「はうっ」
完璧な、100%の素で言われ、かえって弁慶は大きい心理的ダメージを被
ってしまった。紅葉を「いぢめ」るつもりが、一転して攻撃を受ける立場にな
った弁慶は、わずかに震える声で再び質問。
「も、紅葉。それ、どうやって見つけたんだ?隠しておいたのに」
「あの・・・弁慶様?ベッドの下に押し込んでおくのを『隠した』とは言わな
いと思うのですが・・・」
「うぐっ」
紅葉の正論に、弁慶、あっさりと返り討ち。ぐうの音も出ない。そこへ、紅
葉が自覚無しに容赦ない追撃を加える。
「それに・・・物を隠すのであれば、部屋の掃除を人任せにされない方がよろ
しいかと・・・わたくしは掃除している時に、これらの本を見つけましたし・・・」
「・・・・・・」
もはや、弁慶は何も言えなかった。
教訓:人をからかうのはほどほどにしましょう。でないと、きついしっぺ返
しが待ってます。
終わり
後書き
松です。「少女義経現代伝−艶話、紅葉の場合−」をお届けします。
考えてみると、18禁なSSって、これが初めてですねー。
まぁ、書いたのはリクエストがあったからですが。なけりゃ、書こうとは思
わなかったでしょうね。たとえ、芸風広げるための練習にかもしれなくても(苦笑)
ちなみに、リクエストは掲示板にあった書き込みです。
下に出しておきますと・・・
>いきなりですいませんが、義経伝のエロSSを書いていただけないでしょうか?
>僕の希望は紅葉エンディング後で弁慶が現代に帰ってない状態で迎えた紅葉と
弁慶の結婚初夜SSです。
>フェラチオとパイズリと喘ぎ声と最後に妊娠を入れてください。
・・・まぁ、リクエストの半分も書いてない気がしますが、そこは気のせい
という事で(おひ)
まぁ、むやみやたらと急かされましたからねぇ・・・。
そもそも、ウチの掲示板、年齢制限かけなきゃならないような書き込みは禁
止のはずなのに、私、注意もせんと思いっきりスルーしちゃてるし・・・
ま、愚痴はここまでとして、書いたものの話に行きますか。
読んだ通りの、ひたすらにラブラブ甘々ものです・・・糖分が明らかに不足
していますが;
ちなみに、本文中でもちょっと触れていますが、この弁慶は最低でも「妻五
人」状態です。「少女義経伝弐」次第では、さらに増えたりします。
現代までやって来たあげくに弁慶と結ばれないのでは、立つ瀬がなさすぎま
すからねぇ。
さて、それでは、こんな所で。
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松
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