ガンダムSEEDデスティニーを見ていて、ふと思いついた落書きです。
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紆余曲折を経て、ミネルバとアークエンジェルが合流したという設定です。
次の作戦のブリーフィングのためにアークエンジェルに移動したシンとルナ
マリアの2人は、空き時間ができたので食堂で時間を潰していた。
そんな2人にラクスとカガリの2人が話しかけてきた。
「ちょっとよろしいでしょうか?」
「え?あ、はい、なんでしょうか、ラクス様」
突然の事に、ルナマリアは慌てて敬礼する。一方のシンは、いささか渋り気
味に敬礼する。カガリに対して敬礼するのに、まだ抵抗があるのだ。もっとも、
カガリは、シンの心情について負い目を感じていたし、ラクスは気にするよう
な性格ではないので、咎められたりはしなかったが。
「で、何の御用です?」
「ええ、ミネルバでのアスランがどうだったか、お伺いしたいのですが」
「ほら、ラクスの偽物なんてのまでいて、婚約者として付き合わされていたん
だろ?気になってさ」
カガリのこの言葉を聞いた瞬間、ルナマリアの目が光った。
「ええ、構いませんよ。何でも訊いてください」
「えっ!?」
それまで、酢を一瓶飲んでしまった時のようにしかめっ面していたシンは、
ルナマリアの返答を聞いて、さすがに驚いた。何しろ、アスランから「俺から
ちゃんと話すから」と口止めされているのだから、無理もない。
「お、おい、ルナマリア」
「なあに、シン」
「どうかされましたか?」
「何か、都合の悪いことでもあるのか?」
順にルナマリア、ラクス、カガリの発言である。直後、シンは恐怖のために
硬直してしまった。シン・アスカは欠点の多い若者ではあるが、その欠点の中
に臆病という項目は断じて存在しない。その彼が、心底からの恐怖を感じたの
だ。
あらかじめ言っておくと、3人は別に凄んでいたわけではない。全員、笑顔
を浮かべていた。ただし、ルナマリアはどこかアクマ風味な笑顔であったし、
カガリも飢狼じみた笑みであった。だが、何より恐かったのはラクスであった。
先の2人のように「恐い笑顔」ではない。柔らかさと温かさを兼ね備えた、お
だやかな笑顔であった。瞳も慈愛に満ちた光をたたえている。だが、逆らいが
たい何かがそこにあった。「逆らえば殺される」と彼に思わせるだけの何かが。
そーいうものを感じてしまった彼に出来る行動は1つだけだった。
「い、いえ、そんなことありません。はい」
顔のあちこちがひきつっていたり、身体がガタガタと震えているあたりがい
っそ哀れを誘う。
「そうですか、ならいいのです」
「それじゃ、行こうか。楽しみだな」
「はい」
そんな会話を交わしつつ立ち去る女3人を見送ったシンは、携帯と小瓶を取
り出すとそれらに語りかけた。
「マユ、ステラ。女って、怖いな」
語りかけた2人だって女だということをきれいさっぱりと忘れた発言である。
余談その1
30分後、アスランがラクス、カガリ、ルナマリアに連行されるのをバルト
フェルトが目撃していた。声をかけようと思ったのだが、女性陣の気配のすご
さに、思わず見送ってしまった。後に彼はこう語った。
「いや、声をかけたら死にそうな気がしたんだ。さすがに、拾った命を簡単に
捨てる気にはならなかったしなぁ」
余談その2
その翌日、アスランを見たキラは以下のように証言している。
「気のせいかな?アスランがなんだかやつれているように見えたんだ。あと、
白髪もあったような・・・何かあったのかな?」
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いあ、アスランの女性問題、アークエンジェルに帰ったら、ただじゃ済まない
だろうなぁ、と思いまして。