松です。発言番号58に続く落書きです。
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白煙を曳くロケット弾は、照準用レーダーが発振する電波という通路に沿っ
て飛行を続ける。その先には、当然のように連邦軍の戦闘機タビーキャットが
いた。
「敵艦、発砲!」
「落ち着け。この距離で航空機に当てられる兵器なんて存在しない。はったり
だ!」
確かに今のところ、一〇〇キロも離れた航空機を攻撃する手段は存在しない。
だから、ハッタリという彼らの判断は間違いとはいえない。たが、帝国軍とい
う相手を見誤っていたことは確かである。つまり、帝国軍はあっさりと見抜か
れるような下手なハッタリのために無駄弾を撃つような軍である、と・・・。
その過ちの代償は、すぐに彼ら自身の死という形で支払うことになった。
日向から発射された電波式誘導ロケット弾は、あと2秒で命中するという距
離まで近付いていた。電波という通路の上にいるロケット弾は、さらに弾頭に
設けられた熱反応式誘導装置に導かれ、最も大きい熱源であるタビーキャット
のエンジンに突っ込んだ。
まさか当たるはずはない、と思い真っ直ぐに飛んでいたタビーキャット6機
が一斉に爆発した。ありえない遠距離での精密攻撃に、標的にされなかったタ
ビーキャットのパイロット達はパニックに陥った。回避運動を行うべく、慌て
て編隊を崩した。
そこへ、八空艦の一式艦戦隊がロケット弾を撃ち込んだ。すでに回避行動に
入っていたタビーキャットに、それをよける事は不可能であった。一瞬後に殺
到した対空ロケット弾により、その場にいたタビーキャットの半分が撃墜され
た。残りの半分も無傷のものは数えるほどしかないという有り様になっていた。
この瞬間、連邦軍攻撃隊の前衛は完全に崩壊したのだった。
「電波誘導式ロケット弾は上手くいったようだな」
その光景を確認した日向の艦長は双眼鏡を下ろしながらそう評した。
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それでは、こんなところで。