松です。本日書いた落書きです。
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「第四中隊、全機、攻撃開始!」
沙耶が指揮下の各機に出した命令に、本多は首をかしげるしかなかった。
「攻撃って・・・爆弾もロケット弾もないのにどうやってやる気なんだ?」
「さあ・・・」
二番機の位置に戻った大河原も、頭をひねるばかりである。
第三中隊の男達の視線が集まる中で、彼女達の「攻撃」は開始された。
「目標は一番大きい空母!急降下で攻撃!行くわよ!!」
沙耶の指示を受けると、第四中隊の八機は一斉に散開。一番大きい空母、こ
とインドミタブルを取り囲むように急降下を開始した。
「敵機、八。急降下!!全方位」
インドミタブルの見張り員が、第四中隊の動きに気付いて叫んだ。その報告
を受けた艦長は、さっと状況を確認すると間を置かずに命令を下す。
「対空戦闘!撃ち方始め!!」
命令とほとんど同時に、インドミタブルの対空機銃、高角砲が火を吹く。無
数、というほどではないが、少なくない数の火線が八機の一式艦戦目がけて空
に伸びる。
その火線を目の当たりにしても、彼女達はたじろかない。それどころか、機
体を横滑りさせて、狙いをそらす余裕があったほどだ。先ほどの空中戦に参加
したため、火線に対して耐性がついたのだ。そんな中、先頭を行く沙耶が最初
に行動を起こした。
「それっ!」
軽いかけ声と共に、主翼下の増槽二個を切り離す。増槽は、急降下の降下で
ほとんど一直線に目標としたインドミタブルの飛行甲板に向かって行った。彼
女の投下に続いて、残る七機も次々と増槽を切り離した。合計一六個の増槽の
内、四個がインドミタブルの飛行甲板に直撃、そこで木製の増槽は粉々に砕け、
中の航空燃料を周辺に撒き散らした。直後、ひたすら射撃を続ける対空機銃か
高角砲の発射炎がこの航空燃料に引火した。
ドンッ!!
下手な爆弾よりも大きな爆発音と共に、インドミタブルの飛行甲板は炎に包
まれた。無論、飛行甲板だけではない。爆発のせいで航空燃料がさらに散らば
り、火災をさらに拡大していったのだ。
インドミタブルは、全艦が炎に包まれようとしていた。
その光景を見た本多は、思わず叫んでいた。
「嘘だ!こんなの無茶苦茶だ!!」
「そりゃまぁ、航空燃料。対空砲火を打ち上げている艦に撒き散らしゃ、引火
して燃える勘定ですがねぇ」
豪胆さで知られる大河原も、ただただ唖然とするばかりだ。
まぁ、遠く(といっても、単に対空砲火の射程外という程度の距離だが)か
ら見ている本多以下の第三中隊の面々は頭を抱えるか、唖然となるかで済んだ。
だが、インドミタブルの乗組員にとっては、この攻撃は悪夢以外の何者でもな
かった。