最近始めた、WW2IF物のような話に思いついた空母です。

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双胴空母 青竜(チンロン)
生産力で劣る帝国が、大量生産される連邦の正規空母に対抗して建造した簡易空母。
帝国の建造力でも量産可能な1万トン級の船体を2つ横につなげただけのシロモノだが、効果は確かにあった。
横に船体をつなげたため安定性が増し、格納庫を2段にする事が可能になったのだ(通常、安定性の問題から格納庫は1段にする)。
このため、搭載機数が一挙に増大し、100機以上の航空機を運用可能になった。
これは連邦の正規空母の艦載機数を上回るばかりか、当時ほぼ最多の数であった。
また火器も強力で、連邦のパイロットからは「活火山」の異名を与えられた。
運動性能と速力は十分であったが、操艦性能には難があった。
艦橋、煙突、エレベーターは艦中央に集められ、飛行甲板を少しでも広くする努力が払われた。
なお、艦載機は下段格納庫に設けられた連絡通路を使って左右の船体を行き来することが可能であった。


「またけったいな艦を造ったもんだなぁ」
 第八空母艦隊の新旗艦、空母青竜(チンロン)上空に柴田は、その姿を見て
率直な感想を漏らした。
 確かに、空母青竜は奇妙な艦である。遠目には小振りな空母が2隻、寄り添
うように並んで航行しているように見える。だが、近づくとそうした見方が間
違いで、実際には2つの船体を横につなげたいわゆる双胴船を空母化したもの
だと分かる。
(あれじゃあ、転覆はしにくいだろうが、回頭するのは一苦労だろうなぁ)
 そんな事を考えていると、中佐に昇進した真田の命令が飛んできた。
「最初に第1中隊、続いて第4、第3、偵察の各中隊の順で着艦。第2中隊は
 最後まで残って警戒を」
 最初に腕の良い第1中隊が降りて、着艦時の癖を把握する。その癖を伝えら
れた各中隊が続いて降りる。第2中隊は、しんがりの役目というわけである。
 普通ならそんな真似をせずとも良いのだが、ここまで特徴ある艦型をしてい
ると、飛行甲板上にどんな気流の乱れがあるか分からない。下手な連中を先に
降ろして事故でも起こされたらたまらないのだ。
 命令を受けて、軽く上昇する柴田の目には、着艦のために降下を始めた第1
中隊の一式艦戦の姿が映った。