松です。最近書いた(書けた)落書きをちょっと載せます。

「鋼鉄の咆哮」PS版の1シーンを想像して書いたものです。

それでは、どうぞ

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「絶望して・・・死ぬがいい!」
 狂気じみたクルーガーの声は、そこで一方的に切れた。その声音と、発言の
意味するところをを正確に理解したナギは、顔から血の気が引き、身体が震え
るのをはっきりと自覚した。かつて戦った戦艦、荒覇吐(あらはばき)と空母
アウルス。両艦共に撃沈することには成功したものの、その時には自艦もボロ
ボロにされ、その後は逃げるだけで精一杯であった。今度は、その2隻を同時
に相手取らねばならないのだ。恐怖を感じるな、というのが無理であろう。
「か、艦長・・・」
 信頼する男を呼びかけるのでさえ、全身の力を振り絞って、ようやく蚊の鳴
くような声を出すのが精一杯という有様であった。だが、振り返った先で艦長
席に座る男はいつもと変わらぬ、穏やかな表情で頬杖ついていた。その男は彼
女の視線に気付くと、目を開けて温かい視線を返した。
「大丈夫だよ」
 その落ち着いた声は、ナギだけでなく艦橋にいる者全員に不思議な力強さで
はっきりと聞こえた。その声に艦橋にいる者の視線が彼に向けられると、彼は
ゆっくりと立ち上がってナギの肩に手を置いた。
「大丈夫。何のかんのと言っても私たちは荒覇吐もアウルスも沈めてきたじゃ
 ないか。もっと不利な条件で」
 彼の言う通りであった。かつては現在の乗艦の半分程度の排水量しかない、
小振りな戦艦で戦ったのだ。
「その時に比べれば、この程度の不利は大した事じゃないよ。何とかするさ、
 いつものようにね」
 朗らかな言葉と共に肩に手を置かれて、ようやくナギの震えが止まった。

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それでは、こんなところで。